白昼無の青写真
今週のお題「名作」
お久しぶりです。
GWに入ってとあるゲームをしてて、これが滅茶苦茶良かったので紹介します。
なんか今週のお題にもかかりますし。
それに合わせて、純粋に良いゲームだと思ったゲームを『個人的神ゲー紹介』と題して今後紹介していきたいと思います。
あまり神ゲーという言葉を使いたくはないんですけど、インパクトありますからお許しくださいまし。
さて、ゲームと聞いて、普段ゲームやらない人は踵を返しそうですね。
ですが、待ってください、凄まじい傑作、きっと後悔しないですから、ちょっと記事を見て頂いて、あわよくばやってみてほしいと思う……それぐらいの大傑作の大名作です。
で、やったゲームと言うのが…
白昼夢の青写真
です。
元はアダルトゲームですが、すぐにswitch、steamで非R18版が出ました。
俗にいうノベルゲームで選択肢もない、紙芝居ゲーです。
で、これがめっっっちゃくちゃ良かったんですね。
完成度が高いと言われて、前々から気になっていたのですが、マジで良かったです。
で、まぁ「本当にそんないいのぉ?」とお思いの方。
とりあえずこのPVを見てください。
オーラヤバくないですか?このPV。
気になっていましたが、このPV見て即購入してしまいました。
弱いんですよ、こういう脈絡のない話が何か1つに収束して大きな話になりそうだってやつ……。
恐らく、このPV見たら、「なんかcase1~3、そしてcase0の4つの話があるっぽい?」ってすぐに分かると思います。
ですが、見ただけじゃ当然、それらがどんな内容か、何がどう関係しているのか分からないと思います。
で、実際始めると、案の定、どうもcase0がメインで、1~3を辿っていくという作りになっていると気づく。
そして、この話はこういう意味か?いや、あーいう意味か?って推測しながら読み進めていく。
0本編が始まり、その真相が明らかになる……。
最終的にその真相が分かったうえで0の話がついに本格的に進みだし、そして……って感じです。
ちなみに、これはめっちゃ個人的な感想なのですが、このゲームはプレイ中、ラストオブアスパート1、スピリットサークル、ファタモルガーナの館、ATRI -My Dear Moments-に近いなと感じました。
ところどころ、ところどころね。
頭をよぎったゲームがこんなにも幅あるぐらいには、ぱっと見の印象で中身を想像するのは難しい話です。
なお、あくまでプレイ中に頭をよぎった作品たちに過ぎません。
実際真相を知ったり、クリアした後は、「言うほど近くなかったわ!でも、ここのテーマはこの作品と似たテーマだな!」って感じで、印象変わってたりします。
なお、ほんの少しネタバレか?ネタバレじゃないか?ってぐらいのほぼネタバレじゃないネタバレがあります。なので、ネタバレ苦手な方もそこまで気にしないで見て頂けたらと思います。
評価
星10個が最高、星1個が最低になります。
なお、ノベルゲーなので、ゲームと言うより、主に話や演出についての評価を記します。
話の完成度:★★★★★★★★★★(10)
話の暗さ :★★★★★★★★★(9)
話の明るさ:★★(2)
衝撃 :★★★★★★★★(8)
ボリューム:★★★★★★(5)
音楽 :★★★★★★★★★★(10)
雰囲気 :★★★★★★★★★(9)
感動 :★★★★★★★★★★(10)
ゲーム性 :★(1)
※話の暗さは辛い展開、悲しい展開など、俗にいう鬱展開の多さや雰囲気の暗さを表します。
話の明るさは明るく楽しい展開、笑える展開、希望に満ちた展開、雰囲気の明るさを表します。
衝撃という項目はどんでん返しや種明かし、展開のインパクトの強さを指します。
雰囲気はノスタルジックな感じとか、その場にいるかのような感じとか、空気感とかそう言ったものがどのくらい感じられるかを指します。
まぁ基本的に話の明るさに対して暗さの方が強ければ強いほど、シリアス一辺倒な内容だと思ってください。
つまり、白昼無の青写真はシリアスで暗い話です。全体的には。
プレイ後、胸にじんわりとした切なさが残ってヤバいです。
他にもいろいろヤバいです。ヤバイ(語彙力)
何がどうヤバいのか
それぞれの話のクオリティ
まず、case1~3は、0に至るための前座だと分かると思います。
ですが、その前座のレベルが高い。
まったく違う時代の話で、2に至っては国すら違う。
扱うテーマはそれぞれ小説、演劇、写真で違う。
主人公の性格はどこか似てますが、ヒロインは全然違う。
勿論周りのキャラも違う。
でも、ヒロインもそうだけど、なんか似てるキャラが違う話に違う名前で登場してたりする……。
はてさて、これはどういうこっちゃ???他の話との関係性は???って感じで、普通に考えると『他の話分からないとなんだかな~』って感じに思うのですが、実のところこのcase1~3、それぞれその話だけでしっかり綺麗な話になっているし、雰囲気や文章もそれぞれ全く違うがそれぞれしっかりしている。
もうね、これ、それぞれ1本で1つの作品なんですよ。完成してるんです。それぐらいレベルが高い。
なのに、なのにですよ?
このただでさえ単品で上手くできてる話の評価が、case0をやると、さらにぐっと上がるんですよ。
0をプレイして、「あ!!case1のあの人ってそういうことだったのか!?case2のあの感情表現は…case3のあの描写は…!」ってなって、ガッチガチの完成度がさらにガッチガチになる。
なんなら、「なんかこの話は〇〇だな、この話は××だな」っていう抱いた感想自体が、実は0における重要な要素になってたりするんです。
完全にシナリオライターの手のひらの上です。
全然違うテーマとヒロイン
case1は2016年の日本の千葉県が舞台。かつて小説家志望だった45歳の主人公が、その夢を諦め、後悔の中全く違う非常勤講師という仕事で日々をたんたんと過ごしていく話。ヒロインは勤務する学校の女性と。とある著名な人物の一人娘で、その著名な人物と言うのが、ヒロインだけでなく主人公の人生に大きな影響力を持った人物で…という話。
case2は中世イギリスが舞台。売れる前のシェイクスピアの話。シェイクスピアは適当な名前で劇団に話を提供していた無名作家でしたが、男装して演劇に参加しているヒロインとの出会ったのをきっかけに、本格的に演劇の脚本を務めていく。主人公とヒロインはお互い野心を燃え滾らせ、二人三脚で徐々に成り上がっていく…というストーリー。キャラだけでなく、主人公、ヒロイン、主人公たちが属する劇団とその劇団員、みんなが成長していく話。
case3は2060年代?2070年代?(うろ覚え)の千葉県が舞台です。写真家志望の男子高校生の話。著名な写真家だった亡き母の後を追って、ハレー彗星の写真撮影に奔走します。ヒロインはそんな主人公を担当する教育実習生の大学生。しかし、ヒロインは本当に先生になりたいのか自分は何になりたいのか分からず、主人公と出会い共に夢や、なりたいものを見つけていく……という話。
どれも違うんですよ、テーマが。
ちなみに、主人公はともかく、ヒロインの性格もまるっきり違う。
どれにおいても、白髪赤目と言うのは共通していますが、被ってないんです。性格が。
1は落ち着いた文学少女、2はクールでツンツンしてる大人の女性、3はまだ幼さ残る明るいキャビキャビした女子大生。
こんなにも話もキャラも違うのですから、この話は微妙だなって思っても、他の話は良いなと思ったりする。
色々な話を楽しめます。
で、この話に幅があるということそれこそが、0における重要なファクターになってるんですね。恐ろしい。
すべての真相 case-0
ヤバいです。
色々とヤバいです。
そういうことかァ~~~!!!ってなりますし、救いはないんですか…?ってなりますし、情緒がぐちゃぐちゃになります。
ってか、端的に言うと、絶望感が凄い。
はっきり言いますと、この、白昼夢の青写真、メインの話(case-0)は
めちゃくちゃ重く暗く辛い話になってます。
話の暗さ、重さと言うと、case-1も相当に暗いんですが、0はもっと辛い。
まず世界観が辛いですし、その中で主人公は奮闘し、努力し、抗うんですが、その待ち受ける運命というのもひたすらに辛い。
ヒロインも同じく。
というか、ヒロインが…ヒロインこそが…。
正直、プレイしてすぐに分かるので言いますが、この白昼夢の青写真のヒロイン『世凪』は、自我が崩壊し記憶が喪失していて、生ける屍になってるんですよ。物語開始時点で。
なので、ヒロインがそうなるに至る理由がcase-0で語られるわけです。
そのために、まず、case1~3の話を見る。
これはフィクションなのか?ノンフィクションなのか?分かりません。
ただ、case0のヒロインである世凪と同じ白髪赤目の少女が出てくる3つの話、case1~3には重要な役割があるよう。
だから、とにかくそれを主人公が夢という形で追体験していく。
で、1~3の話を最後まで終えた後、1~3が一体何だったのかが分かり、case-0…すなわち、現実における主人公とヒロインの半生が語られ、その後、選択と運命に向き合う。
その選択と運命が、もうね……。うん……。
ちなみに、case-1~3は小説や演劇、写真など、どちらかと言うと文学的な要素がテーマなのですが、case-0はめっちゃSFです。
がっちがちのSFです。
人類が地上で生活できなくなって、地下で暮らしており、それについて色々語られます。
1つしかない分、1~3の文系要素と匹敵する量の理系要素をcase-0のただ一つに詰め込んでるぐらい理系理系してます。
そして、大体、主人公とヒロインの対比が凄いんですよこのゲーム。
その対比と言うのは……。
……それについては、言わずにおきます。
もし、caseごとの記事を作ることがあれば、その時書くかもしれません。
終わり
このゲーム、2年前ぐらいに出た新しめのゲームです。
ですが、アニメ化してほしいゲームランキングというもので、15位に入っていて、steamでは非常に好評という評価でかなり多くの人の胸を打ってます。
恐らく、何らかの映像化、多分アニメ化だと思いますが、そうなるのも時間の問題だと思います。
唯一のネックとしては、元アダルトゲーということもあり、非R18でも明らかにヤった描写と言うのがあります。
で、その描写は下手に省けない。
それあってこそ、主人公とヒロインの関係性が深まってる部分がありますので、省くわけにはいかないのです。
だから、そこをどうするか……。
まぁ個人的に、無職転生程度に描写してくれたら十分だと思いますので、無職転生がアニメ化している現在、そんなネックではないかもしれません。
無職転生のあの程度の描写でもアウトな日が来れば、別かもしれませんが。
ということで、白昼夢の青写真でした。
あ、最後に一つ。
個人的にcase-0、case-2がメチャンコ面白くて、case-1は他と比較すると一番面白くなかったです(それでもめっちゃいい話ですが)
ですが、case-1が一番共感する部分が多かったんですね。
それが、『淡々と流れる同じことを繰り返すだけの毎日。生徒に授業を教えているけれど、自分の授業の需要がないことは分かってる。毎日成長し、毎年巣立ち、希望と若さに満ちた生徒と、このまま同じことを繰り返し体が老いゆく自分。そうして、死んでいくんだろう。誰にも求められず、過去を悔い、未来を諦め……』という感じの心理状態なんですよね主人公。
これ、めっちゃ共感しません?
そう、鬱、適応障害、そう言った人たち……つまり、僕みたいな、未来を諦めてる人種に……。
だから、もし、毎日がつらいなら、一度やってみてください。
救われるかはともかく、共感できます。
主人公とヒロインの恋愛話ですが、そこまで希望に満ちたものでもないので、きっと、楽しめますし、頷く部分も多いと思いますよ……。
以下、そんな、退廃的で諦観的なcase-1のスクショです。
下2枚は、作中で自〇した著名作家の生前日記です。
話としても面白いですが、こういった生々しさ、共感できる心情が丁寧に描写されているので、本当お勧めです。
きっと、プレイして損はしないでしょう。
もしかしたら、見えている景色が変わるレベルで心に残る話になるかもしれません。
以上。