明るくポップなテーマの、重たい物語
これはつい先月出たばかりのゲームです。
なので、適応障害真っただ中の時にやったわけではないので、外伝という扱いで紹介します。
ですがまぁ、先月ですね、新しい仕事初めて少し経って、まぁちょっと合わない感じで、苦しく絶望してるときにやったのでいいかなと。
今もその辛さというのは続いているんですが、その時はやっぱ、期待して入って、結果「あー、最悪だ」って感じで、精神的に凄い辛かったわけですね。
適応障害ピーク時代と比べたらずっと楽ですが。
それでも、そんな辛い時に……
こちらのゲームをですね…・
ペルソナ3 リロード
をですね……プレイしたわけです。
ペルソナと言えば、5が有名ですね。
あの選ばれしゲームキャラクターが登場する大人気お祭りゲーム、大乱闘スマッシュブラザーズスペシャルにも主人公の1人が登場しております。
僕自身はペルソナについては全然で、今回出た3リロードが初めてクリアしたペルソナになります。
そんなペルソナ3リロードですが、見た目がポップでおしゃれで、ジュブナイルで青春ワイワイワッショイワッショイみたいな見た目に見えて、テーマが重いのです。
その明るさとのギャップたるや、なんかもう、ウワァって感じでした。
そのテーマたるや、ずばり、
死
なのです。
親が死んだキャラはゴロンゴロンいますし、寿命が短いキャラもゴロンゴロン。
死に至るキャラもゴロンゴロン、死に抗うキャラはそりゃもうボンボボンといます。
そうしたなかでどう死を受け入れるか?どう死と抗うか?
そうしたものがふんだんに盛り込まれた作品です。
さらに死を扱うには生も扱わねばならぬのは言わずもがな。
「生きる」とは何かを説いていたりもします。
正直、適応障害の時やこれまでの人生で死と向き合うことがちらほらあった自分としては「きれいごと言うなやァッ!」と思うことも多々あったり。
ぼっち人生なので、仲間でワイワイしている姿やそれであれこれ生死について話しているのはぐうの音も出ないところもあれば、「そらリア充だからな」と吐き捨てるところもあったり。
ですが、1キャラ1キャラの立場や性格、価値観が違うので、一方で、それらの言動に共感するところや、感情移入してしまうところもあったのも事実。
このゲームはRPGとしてとても面白いのですが、ゲームとして楽しむだけでなく、そこかしこに組み込まれた生死についても深く考えられ、そこが凄い。
僕は、人間は人生の中でいかに楽しむか、気持ちよい気分になるかがすべてだと思っているのでゲームをはじめとする娯楽というものは、非常に有意義なこと、人生の価値を高めることだと考えております。
だから、ゲームだというだけで十二分に価値あるもの。
ですが、楽しい中にそうした考えをもたらしてくれるところが、このゲームの素晴らしいところだと思います。
個人的に好きなセリフたち
ペルソナというゲームは、コミュというものがあります。
日常の中で出会う人々と絆を育むシステムです。
絆を育むと、タロットカードのアルカナに則った何某かがランクアップし、ペルソナを生み出すときに生み出すペルソナのレベルが上がります。
ペルソナとは?
ペルソナは簡単に言うとジョジョのスタンドみたいなやつです。「ジョジョのスタンドって?」って思う人はジョジョの漫画を読むかアニメを見るかしてくだs…と言いたいところですが、そう言うのってなんか突き放してる感じがして嫌なので説明します。
端的に言うと守護霊です。
自分に宿ってる守護霊を使って戦うんです。
「ペルソナシリーズのペルソナと、ジョジョのスタンドは作品が違うんだから違うものだよね?」とお思いだと思いますが、ぶっちゃけ、ペルソナもスタンドもこの解釈で良いと思います。ハイ。
このコミュというシステム、10段階あって、1つ進めるたびにそのキャラクターとのお話が進んでいくんです。
で、他のシリーズはちょっとしか知りませんが、ペルソナ3リロードのコミュは、どうも別れや生き方というものに焦点が当たったものが多い感じがします。
もちろん、前述の通り、キャラクターによって思考が異なるので、「いやいや、なんだその考え方」というものもあれば、「なるほどなー」と、頷いてしまう言動もあって面白いんです。
で、その数あるコミュ、その中のお話の中で、個人的に好きなのが、無達という、お坊さんのコミュのお話。
この無達という方は、妻と息子に逃げられ、頻繁に夜のクラブの奥の方で酒を飲んで酔ってるお坊さんです。
この方はお坊さんでありながらお酒は飲むし葉巻スパスパだし、口も悪い。
ですが、主人公が話しかけるたびに徐々に過去を詳しく話していき、やがて、とある決心をするのです。
この方は、家族いなくなって、そのうえでお坊さんという、法事で人の死を多々見る仕事をしている。
その中で見聞きする、生きるとは、人とは、見たいな話しがいいんです。
その一部、自分が好きなセリフは次の2つです。
1つ目!
「楽をしたいから金稼いでるのに、なんで金稼ぐのに苦労しなきゃならんのって」
「平均的なサラリーマンの一生分の収入って知ってるかい?2億5千万だと。宝くじの1等賞にも勝てねぇんだよなぁ。」
1つ目と言いましたが、このスクリーンショット、全てが名言すぎて……。
楽しくもない仕事のために生きる人生、やりたくもない仕事に振り回される人生を送っている人は頷かずにはいられないと思います。
本当馬鹿らしいですよね?
人生というものを楽なものにしようとして働いているのに、その働くことに苦悩する。
そして、一方で、紙きれ一つ、運よく手に入れただけでそうした人生全てをチャラにする金を手に入れる人がいる。
宝くじの1等って、言い換えると人が40年間毎日数え切れぬ時間を注ぎ、苦痛を感じ、その対価として得ていたそれが、一瞬で手に入ってるということですよ。
40年間、毎日8時間犠牲にし、多大なストレスを得てようやく手に入れることのできるその報酬を、たった一瞬、紙きれ一つ、運によって手に入れる。
そんな人がいる。
まぁ、「仕事は経験が得られる!無駄じゃない!」といって反論する人もいると思いますが、その経験ってのも、大半はお金を稼ぐために得るものではないですか。
経験を積んで積んで、そして、いつか訪れるチャンスで最善の動きをし、届懲りなく仕事を進めたり、案件を成功させたり、評価されたり、昇格したり、一発あてたりして、安泰の暮らしをするためのもの。
仕事で得た経験が、プライベートで自分の趣味や暮らしで活かされることもまぁあるとは思いますが、殆どがそんなものです。
このセリフはですね、そんなきれいごとを抜きにして、人生というもののばかばかしさについてはっきりと言ってくれていて、非常に好感を抱きます。
さて次です!
2つ目!
「てめぇの人生、いくらてめぇでがんばっても他人のせいで台無しにされちまうって事だよ」
……どうですか?これも、めっちゃいいこと……というか、真実言ってませんか?
僕はですね、新卒で入った会社でパワハラ?モラハラ?どっちに入るかわかりませんが、そんなハラスメントまがいのことされて、適応障害で人生狂ったんで、めっちゃ心に来ました。
それまで、僕は人並みには頑張ってきたつもりです。
だからこそ、そこそこ有名な大学に入って、卒業して……なのに、職場が、そこの人間が、あんまりであったがためにこうなってしまった。
他責思考と思われるかもしれません。
否定は致しませんし、その通りだと思います。
ですが、「他責思考だろそれ」と言ったところで、実際のところじゃあ誰が悪いのか?
誰が「あー、〇〇が悪いね!」と言うのか?
そう言った人は絶対的に正しいのか?世の真理なのか?
……他責思考だろと思っても、他責思考ではないとは誰も断言できないはずです。
じゃあ、どっちが悪いか、どうやったらはっきりできるか?
他責か自責か……それは、判断できるのは当事者のみでしょう。
そして、当事者はお互い「お前が悪い」と内心思っているもの、思いたいもの。
どんなに「いや、私が悪かった」と言ってもですね、心の奥では絶対誰しもが「あーあ、なんかの間違いで俺悪くねぇってならねぇかな」「運が悪いわ。あれがあーだったらまた違ったし。つか、俺がここに配属されなかったら」とかいろいろ考えると思います。
本当、根っこの部分から「私がわるうございましたあああああああああああああ!!!」みたいな人いないですよ。
絶対、ifの自分だったらな、突き詰めて考えたら自分は悪くないよな、自分は悪くないってことになったらいいのに、そんな風に思っているのです。
喜んで自分のせいにする人はいないんですよ。
絶対、責任を負いたくないと思ってます。
このセリフは、そんな、性善説や性悪説ならぬ、性他責説ともいえる、世の真理、人間の真理をズバリ言い放ってる、最高にスカッとしたセリフだと思います。
さて、無達については以上なのですが、最後にもう一つ。
3つ目!
「今を耐えれば、明日になれば…そのような無根拠な期待が、苦しみの根源なのです。有りもしない未来を思うから、人々は救われない」
これは、ストレガという、ペルソナ3において主人公と敵対する組織のリーダー、タカヤの言葉です。
このタカヤという人物、ネタバレになるので詳しくは書きませんが、あることから世の中に絶望しており、そのあることによって先も長くはないのです。
そのきっかけを起こした相手を恨み、先の短い命で刹那的に生き、大きなことを成そうとしている、そんなキャラです。
この言葉……多分、精神障害患った人は結構頷いてしまうのでは?
毎日毎日精神的に追い詰められる日々、何のために生きてるのか分からない毎日。
ただただ続く苦痛の毎日。
そんな中、「今を耐えれば、明日になれば」と希望を持ち、頑張り、その結果、折れてしまった。
そうではないですか?
このタカヤの言葉は、そんな報われぬ現実を目の当たりにし、絶望した経験を持つ自分のような人間に、凄い寄り添ってくれて、良いんですよ……。
まったく、努力は報われるだの、人生山あり谷ありだの。
よく、アフリカの子供を引き合いに出してご飯がどうの言ってますけども、努力や人生のその教訓を、アフリカの子供に当てはめて考えたことはあるんでしょうか?
アフリカの飢餓は、死んでいく少年兵たちは、努力は報われるだとか、人生い山あり谷ありだのとか言って、生き延び、幸せになることができるのでしょうか?
努力が報われない環境は当然のようにあり、谷しかないまま終わる人生もある。
僕はですね、「こういう人生もきっとある」と視野広く考えることのできない人間の、そんな綺麗ごとがすっごい嫌いです。
もし、「世界的に見るとそういう人生もある。けどそのうえで日本で生まれたお前に言ってる」とかいうのならば、もっと嫌いです。
きっと自分の経験則から言ってるのでしょう。もしかしたら近しい方の経験かもしれませんが。
とはいえ、みな能力は同じではなく、育った環境も違う。
その中で自分や知ってる人の経験則に照らし合わせて、さもそれがマネできることのように言うとはなんと愚かしいことか。
多様性だなんだの言っている世の中ですが、そうした自分の体験を都合よく正解として、相手の能力や境遇を鑑みず軽口をたたくその姿勢は、多様性とは異なるものです。
綺麗ごとなくはっきりと言ってほしいものです。
「努力しても報われるとは限らない。耐えても耐えてもその地獄は一生続くかもしれない。明日がもっとよくなる保証はどこにもない」
と。
それで、そのうえで、励ますのならせめてこう言ってほしいものです。
「脱出方法ないかもしれないし、誰もどうしたらいいかわからん。まぁ、せいぜいもがきあがけ」
と。
そんな、悪役が苦しむ相手を見て去り際に言い放つそんな一言の方が、その純度の高さから救われるというものです。
さて、なんか話がそれた感じがありますが、とにかく、このタカヤという人物の言葉は、そのキャラクターの境遇と相まって、共感ものです。
悪役なので、主人公たちが反論してやっつけて……って感じなのですが、まー、反論に関しては「うーん?」って感じで、ぶっちゃけ制作側も「これ、主人公たち、タカヤ言い負かせられないよね」と思って諦めたんじゃないでしょうか。
確か、うろ覚えですが、主人公たちは「孤独だから~」とかなんとか言って、暗に仲間がいないからそうなっちまったんだみたいな、少年漫画的なこと言ってた気がします。
まぁ、みなさんもプレイして見たらわかりますが、タカヤ率いるストレガの思想を完膚なきまでに正論でぶっ潰すことは、そうそうできないと思いますよ。
制作側もそれは無理だから、よくある絆、仲間、そういったもので乗り切ったんでしょうね。
終わりに
さて、長く描いてしまいました。
このペルソナ3リロード、本当面白いのでお勧めです。
老若男女……いや、老はわかりませんが、幅広い人に楽しんでもらえるゲームだと思います。
主人公たちと、それに敵対するストレガ。
正直、生きること、死ぬことについては、ストレガの言ってることの方が共感できるのはそうです。
ですが、だからといって、主人公側が嫌いになるわけじゃないです。
というか、エンディング、凄い感動しました。
その結末、その余韻にただただ、本当、感動です。
スタッフロールの曲なんか、何十回と聞いちゃったねッ!
なので、是非、プレイしてみてください。
steam、PS4、PS5などでやっても良いですが、現在、xboxゲームパスに入れば月額数百円でできます(体験期間は月額100円だったかな?)ので、ぜひ。